WO2.9中空円柱状結晶の生成と評価
- カテゴリ: タングステン知識
- 2015年06月29日に公開
- 参照数: 1368
【WO2.9中空円柱状結晶生成の実験方針と実験方法】
還元剤に水素を用い、フィラメント温度1800℃で、酸化度の低いWO2が生成られました。そこで、フィラメント温度を上げると、より酸化程度の高いWO2.9が生成する事が予想される。実験装置と実験方法はWO2針状結晶の生成と同じであるが、異なるのは、Wフィラメント温度を2000℃にした事である。これによって、Wの酸化が進み 、WO2針状結晶の生成の実験環境よりも少し強い酸化雰囲気でのWの酸化反応が起こったと考えられる。その結果、予想通り、Ni金属メッシュ上に青色の生成物であるWO2.9が堆積した。
【WO2.9中空円柱状結晶生成の実験結果および評価 】
XRDで観察されるピークを同定したところ、生成物はWO2.9結晶である事が分かった。また、SEM写真より、中空になった円柱状の形状をした結晶が観察され、典型的な寸法は長さが約10μm、直径は1μm、中空の穴の直径は300nmであった。全てのWO2.9結晶は中空になっているが、中空になる成長メカニズムについては不明である。
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タングステン酸化物結晶の成長と基材の材質依存性
- カテゴリ: タングステン知識
- 2015年06月29日に公開
- 参照数: 1533
これまでのタングステン酸化物結晶の生成は全てNi金属メッシュを基材として用いていた。Ni金属が特別の触媒効果を持っているのか、それとも無関係なのかを調べるために色々な材質の基材を用いて、タングステン酸化物結晶の成長を調べた。
ここでは、シリコン(Si)、石英ガラス(SiO2 )、鉄(Fe)、ステンレス(Fe-Ni-Cr 合金)、モリブデン(Mo)の5種類を基材として用いた。全ての基材上にWO2 針状結晶とWO2.72柱状結晶の生成を確認する事が出来た。この事から、タングステン酸化物の生成においては、基材材質の依存性はない事が分かった。
すなわち、基材はタングステン酸化物の成長時(堆積時)における受け皿の役割を果たしており、基材の融点が加熱されたWフィラメントの輻射熱に耐えられるものであれば、金属、半導体、絶縁体の種類を問わず何でも良いと思われる。
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WO2針状結晶の生成とその評価(II)
- カテゴリ: タングステン知識
- 2015年06月29日に公開
- 参照数: 1506
【WO2針状結晶生成の実験結果および評価】
測定結果より生成物はWO2であり、結晶構造は単斜晶系である。WO2の形状を調べるためにSEM観察を行なった。
SEM写真から、WO2は先端部が針状に尖った長さ約10μmの結晶がほぼ均一に成長している様子が観察される。原子配列と結晶の質を評価するためにTEMおよび電子線回折を行なった。TEM観察から針状結晶のc軸方向に原子が非常に綺麗に配向している 事、また、電子線回折からも、スポットが強く出ている事から、結晶性が高い単結晶である事も分かった。WO2.72との違いは層構造を持っていない事である。
以上より、水蒸気と水素の混合ガス中では、アルコール蒸気を用いた時よりも非常に穏やかな酸化雰囲気がつくれ、そのため、WはWO2.72にならずWO2の針状結晶が生成したものと考えられる。しかしながら、非常に弱い酸化雰囲気にするとも、はやWは酸化されず、基材上に何も堆積しない結果を得ている。したがって、WO2を作る条件は、酸化と還元雰囲気の調整が非常に難しい。
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WO2針状結晶の生成とその評価(I)
- カテゴリ: タングステン知識
- 2015年06月29日に公開
- 参照数: 1509
【WO2針状結晶生成実験方針と実験方法】
酸化剤に水、還元剤にアルコールを用いた穏やかな酸化雰囲気において、Wを 加熱すると、WO2.72柱状結晶が生成る事が分かった。しかし、還元剤にアルコールを使用しているため、WO2.72以外にも微量ではあるが固体炭素(C)の煤も同時に生成してしまうという問題点がある。本章では、炭素を含まない強い還元剤として知られている水素ガス(H2)を用い、反応空間をさらに穏やかな酸化雰囲にし、酸化度の低いWO2結晶の生成 を 試 み た。
実験装置と方法はWO2.72柱状結晶生成と基本的に同じであるが、アルコールの代わりにH2を用いたところが異なっている。ガラス管の底に水5mlを入れ、ガラス反応管に水素流量200cc/minで10分間流し続けると、空気は完全に排除される。この時、反応空間は水蒸気(酸化の役目)と水素(還元の役目)で満たされており、非常に弱い酸化雰囲気となっている。
Wフィラメントを1800℃まで加熱すると、Wは水蒸気により酸化されるが 、水素がこの酸化を抑制するため、非常に穏やかな酸化雰囲気の状態で、Wフィラメトの酸化が始まる。そして、基材であるNI金属メッシュ上に褐色の生成物が堆積する。反応時間は20分間である。なお、Wフィラメント温度を2000℃から1800℃に下げた事も酸化を抑制する効果を持つ事は常識の範囲で理解できる工夫である。
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WO2.72柱状結晶の生成とその評価(II)
- カテゴリ: タングステン知識
- 2015年06月29日に公開
- 参照数: 1781
【WO2.72柱状結晶生成の実験結果及び評価】
基材上に堆積した青紫色の生成物のFE-SEM写真(電界放出型走査型電子顕微鏡)から、典型的な大きさは、一辺100nm、長さ10μmの角柱状の結晶が密集して成長している事が確認される。さらに、この角柱状結晶はASTMデータとXRD結果を比較したところ、WO2.72である事が確認されたTEM観察から角柱状結晶のc軸方向に原子が非常に綺麗に配向しており、層構造をとっている事も分かった。
さらに、電子線回折からもスポットが強く出ている事から、結晶性が非常に良く単結晶である事、また、層構造を反映する線状のストリークも観察された。次に、WO2.72の生成条件を検討するために、1-プロパノー ルへ の水の添加量(vol%)とWフィラメント温度の関係を調べ た。
WO2.72 柱状結晶の生成が最も良かった条件は、Wフィラメント温度2000℃、水の添加量50%である。フィラメント温度が比較的低い1600℃では 、水の添加量を70~80vol%に増やしても、穏やかな酸化雰囲気が保たれる。一方、フィラメント温度を2400℃の高温にすると、酸化が激しくなる傾向にあり、水蒸気量を少なくする必要がある事が分かった。酸化プロセスを考えると当然の結果でもある 。
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